京都大学 2020 前期 英語 【Ⅲ】の英作文を書いてみた

ライティング

暑い日が続いていますね。

ペンギンも仕事が夏休みになり時間も取れるようになりましたので,大学受験の問題を使って英検1級の練習記録をブログに書きたいと思います。

リーディングの練習素材として使っている 京大の英語27カ年[第10版] ですが,今日はライティングの練習をしました。2018年の問題からやろうかなと思ったのですが,せっかくなので最新の問題をということで,去年の京大の問題から。

【問題】次の文を英訳しなさい (25点)

お金のなかった学生時代にはやっとの思いで手に入れたレコードを擦り切れるまで聴いたものだ。歌のタイトルや歌詞も全部覚えていた。それが今ではネットで買ったきり一度も聴いていないCDやダウンロード作品が山積みになっている。持っているのに気付かず、同じ作品をまた買ってしまうことさえある。モノがないからこそ大切にするというのはまさにその通りだと痛感せずにはいられない。

[ペンギンの英作文]

When I was a student, I didn’t have enough money so I had a great difficulty to buy only one record. Once I got the record, I would listen to it so many times that I would memorize all the titles and lyrics. But now, I can purchase or download music so easily on the Internet that I have bought a lot of CDs which I have never played or mistakenly ordered the exactly same CD which I already have. From these mistakes, I must admit that abundance can make me poor.

[気をつけたところ]

目の前に日本語の通じない英語話者がいて,その人に伝えなくてはならないという前提で書きます。

「擦り切れるまで」などの日本語独自の言い回しをそのまま英語に直しても,日本語を知らない人には通じません

「猫の手も借りたい」を “I want to borrow a cat’s hand.”  「朝飯前」を “before breakfast” と英訳したところで,それらの表現が伝わらないのと同じですね。

だからまずは日本語をよく読んで,その人に何を伝えるべきなのか,どういう順番で伝えれば効果的に伝わるのか,を念頭において英文を考えるようにしています。つまり反対に言うと,和文英訳はただ和文を英訳すればよい,というわけではないということです。

具体的に日本語のメッセージを英語では伝えるとは,「猫の手も借りたい」なら,そのぐらい忙しいというメッセージを “I’m very busy ~ing” などで表現する,「朝飯前」なら,簡単だというメッセージを “It’s very easy to 不定詞~” などを用いて表現するということです。

では,今回の問題では,一番伝えるべきメッセージは何でしょうか。問題文の日本語をよく読みます。

ペンギンは「昔はレコード一枚でも簡単には買えなかった。けれど現在はモノが溢れていて,モノをあまり大事にしなくなった」というメッセージではないかと考えました。

伝えるべきメッセージが決まると,英語表現のアイディアがかなり限定的に湧いてきます

この「アイディアが限定的に湧く」という感覚が英作文では必要なのかなと思います。

英作文なのですから,実質解答例や書き方は複数通り存在しますが,「このメッセージを効果的に伝えるには」という条件を付けるとかなり限定されるのです。

例えば,I had a great difficulty to buy only one recored の only one という表現は,a record でもいいでしょうし,one record でもいいでしょう。

けれども「昔はたった一枚でも買うのは大変だった」というメッセージを伝えるには,only one record が最適だとペンギンの脳内で表現が限定されたわけです。

また最後の I must admit abundance makes me poor. という表現も,「けれど現在はモノが溢れていて,モノをあまり大事にしなくなった」というメッセージから考えた表現です。

和文英訳とは言うものの,「和文をそのまま英訳する」のではなく,自分が日本語から読み取ったメッセージを英訳するという意味では,「自由英作」とまではいかないにしても「ある程度の自由が認められた英作」だと言って良いのかもしれませんね。

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