ポレポレ25 – 早稲田大学

ポレポレ

[1] By reason of the fact that educated English is thus accorded implicit social and political sanction, it comes to be referred to as Standard English, [2] and provided we remember that this does not mean an English that has been formally standardized by official action, as weights and measures are standardized, the term is useful and appropriate.

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【第1文の前半】文構造を分析してみた

(Ⓜ By reason of the fact {同格 that ⒮ educated English ⒱ is (Ⓜ thus) accorded ⒪ implicit social and political sanction}), Ⓢ itcomesto be referred to (Ⓜ as Standard English),

[訳してみた]

{教養のある英語には(このように)暗黙の社会的,政治的な承認が与えられるという}事実が理由となり,それ(=教養のある英語)は標準英語と呼ばれるようになりました。

[気をつけたところ]

ペンギン
ペンギン

受動態がうまく訳せません。

前置詞から始まって,the fact に完全文が続くので,that節は同格だと分かります。 「〜という事実のために」という副詞句になることは分かりました。しかし,受動態が同格節と主節で2つも出てきて,訳がわからなくなってしまいました。

受動態について整理したいと思います。まず,どうして受動態なんて存在するのでしょうか。手元にある文法書にはこう書いてあります。

あえて受動態を用いる必要がない場合は,能動態にするのが普通だが,受動態は次のような場合によく使われる。

(1) 動作を受ける側に重点を置きたい場合

(2) 話題にのぼっていることを主語にする場合

(3) 論文などで客観的事実を述べる場合

野村恵造 Ultimate 総合英語 p.153

今回は educated English が話の中心なので,これを主語に置きたいのでしょう。しかし,動作主 が by〜 によって示されていません。これはなぜでしょうか。

次のように動作主が重要でない場合, by〜 は示さない。

(1) 動作主が we / you / they / people など「一般の人々」

(2) 動作主が明らか

(3) 動作主が分からない,あるいは表しづらい

野村恵造 Ultimate 総合英語 p.152

教養のある英語に,社会的・政治的な承認を与える動作主は,世の中一般の人ですから,わざわざ by people とか by them とか示す必要がないんですね。なるほど。

ところで,同格のthat節の “is accorded” の部分はどう訳せばいいのか考えてみたいと思います。直後に sanction という目的語あるので,SVO(第3文型)の受動態の文です。ということは,能動態では SVOO(第4文型) の文であったはずですね。富田の読解の原則には次のようにあります。

受動態は,元の(能動態の)動詞の目的語を主語の位置に移し変えたものである。

富田読解の原則 51/100

受動態の性質:

① 主語に来るのは能動態の動詞の目的語 

② 能動態の時に比べて目的語が1つ少ない 

③ 動詞(受動態の過去分詞)の意味は能動態の場合の文型によって決まる 

④ 動詞(受動態の過去分詞)の文型を考える場合,目的語を1つ足してやる

富田読解の原則 53/100

慣れないと難しく感じますがこれは, “educated English is thus accorded implicit social and political sanction” という文は受動態ではSVOの文型になっているけれど,受動態のSが能動態のOになるのだから,能動態に直せば当然,目的語が1つ多くなって SVOOになりますよ,という至極当然なことを言っているのですね。

そこで,受動態の主語を能動態の目的語に移し変えて能動態に直してみると,Ⓢ They (あるいは People) Ⓥ accord Ⓞ educated English Ⓞ implicit social and political sanction という第4文型になります。

第4文型の動詞の訳は,その動作の結果,誰かが何かを受け取ったり,所有するという訳が基本です。一応辞書で accord の意味を調べると,第4文型を取るときは「(人に)(称賛・許可などを)与える・授ける(=give)」とあります。なので,ここは,「教養のある英語に暗黙の社会的・政治的な承認を与える」という意味になります。

もう1箇所。主節の “it comes to be referred to as Standard English” の部分も受動態です。comes to be だと 分かりづらいので,一時的に “is” とします。Ⓢ it Ⓥ is referred to (Ⓜ as Standard English) これを能動態に直してみます。(※ referは厳密には自動詞ですが,便宜的に refer to で「〜を呼ぶ」という他動詞として扱います。)すると,Ⓢ They (または People)Ⓥ refer to Ⓞ it (Ⓜ as Standard English). となりました。「それを標準英語と呼ぶ」という意味だと分かります。

あとは,受動態の訳を考えれば完了です。「教養のある英語には暗黙の社会的,政治的な承認が与えられる」「それは標準英語と呼ばれるようになっている」

【第1文の後半】文構造を分析してみた

and (Ⓜ provided ⒮ we ⒱ remember [⒪ that this does not mean an English <関代Ⓜ that has been formally standardized (Ⓜ by official action)>, (Ⓜ as ⒮ weights and measures ⒱ are standardized,)])the term isuseful and appropriate.

[訳してみた]

そして,([重さや物差しなど物をはかるような単位が基準として定められた時とはちがって,(公的な措置によって)正式に標準と定められた英語ではないということを]私達が忘れないように覚えていれば)その用語(=Standard English)というのは,有益で適切です。

[気をつけたところ]仮定を表す provided・as の識別と訳

provided は分詞構文によって if の意味(仮定)を表す表現です。他にも providing / suppose / supposing などでも表現できます。 that節の that はほとんどいつも省略されるので,provided S’V’〜という形をとることが多いので,従位接続詞として考えられます。

ここで一番気をつけたのは as の識別 とその訳です。完全文になっていますが,ここでは受動態の be standardized が繰り返されているので,「様態」でとりました。

as の分類 

as の後ろが完全な文 → as は「時」「理由」 

as の後ろが不完全な文 → as は「様態」 

ただし,as の前後に同じ形の反復がある場合は,後ろが完全であっても,「様態」になる

富田読解の原則 17/100

ということで,同じ形の反復があるので,様態「〜のように」と取りました。気をつけたのは日本語訳です。

ペンギンは最初「重さや物差しなどが標準化されているように,公的な措置によって正式に標準化された英語を意味しない」という訳に違和感を持ってしまいました。言葉では説明しづらいのですが,この訳だと重さや物差しなども公的な措置によって標準化されていないかのようにもとれてしまうのではないかと…。度量衡の単位はきちんと政府などによって正式に基準を定められたのに対し,標準英語というものは違う。政府などによって正式に「この英語が基準です!」と定められたわけではない,そういうニュアンスが出ていないように感じてしまうのです。心配のしすぎでしょうか。

そこで,すこし意訳をして,「重さや物差しなど物をはかるような単位が基準として定められた時とはちがって,公的な措置によって正式に標準と定められた英語ではない」という形にしました。言葉の綾というものかもしれませんが,誤解が生じないように訳をするのは難しいです。

【ボキャブラリ】語句まとめ

  • by reason of〜 【副】〜の理由で・〜のために
  • educated English 【名】教育された英語 ➡ 教養のある英語
  • thus【副】このように
  • accord + A + B / accord B to A【動】(人に)(称賛・許可などを)与える・授ける(=give
  • implicit【形】暗黙の ⇔ explicit 【形】明確な・明白な・露骨な
  • sanction【名】(公式の)認可・承認・制裁
  • come to 不定詞〜【動】〜するようになる
  • refer to A as B【動】AをBだと言う・述べる・呼ぶ
  • provided (that) S’V’〜 【接/分構】S’V’〜という条件で・もしS’V’〜だとすれば = providing / suppose / supposing  ※ この意味において supposed という形はない。 
  • formally 【副】正式に・公式に 
  • standardize 【動】標準化する
  • official action 【名】公的な措置
  • weights and measures【名】度量衡(長さ・体積・質量またはそれらを測るものさし・ます・はかり)
  • appropriate【形】適切だ

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