[1] Historians have described how life periods became demarcated in Western societies over the past centuries. [2] Only with industrialization and the appearance of a middle class and formally organized schools did childhood become a clearly definable period of time.
群馬大学
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【第1文】文構造を分析してみた
Ⓢ Historians Ⓥ have described [Ⓞ how ⒮ life periods ⒱ became ⒞ demarcated (in Western societies) (over the past centuries)]
[訳してみた]
歴史家はこれまで,ここ数世紀の間に西洋諸国では,人間の一生がどのように区分分けされてきたかを説明してきた。
[気をつけたところ]
この1文は文法的には難しくないので,demarcarted という語の和訳が一番のポイントになるのではないでしょうか。
ポレポレでは demarcate には (注) がついていますが,de(分離) + marc (= mark:マーク・しるし ← 国境を示すしるし)= 「境界線を引いて分ける」という接頭辞・接尾辞で予測できる単語かもしれませんね。
how S’V’〜 は間接疑問文で「どのようにS’V’〜か」という名詞節になっています。つまり,life period(人の一生)がどのように境界線を引いて分けられるようになったか = 一生がどのように分けられてきたか,ということです。幼年期,少年期,青年期,壮年期,中年期,高年期といった区分のことでしょう。厚生労働省の提言『健康日本21』の資料によると,幼年期0~5歳、少年期6~14歳、青年期15~30歳、壮年期31~44歳、中年期48~54歳、高年期65歳以上という区分をしているそうですよ(更に高齢期の74歳までを前期高年期・75歳以上は中後期高年期)。
【第2文】文構造を分析してみた
(Only with industrialization and the appearance of a middle class and formally organized schools) Ⓥ did Ⓒ childhood Ⓥ become Ⓒ a clearly definable period <of time>.
[訳してみた]
【訳その1】産業化が起こり,中流階級や公的に組織された学校が出現したことによってようやく,子供時代ははっきりと定義されうる人生という時間の一つの時期となったのだ。
【訳その2】産業化が起こり,中流階級や公的に組織された学校が出現するまでは,子供時代というものは,はっきりと定義されうる一つの時期ではなかったのだ。
[気をつけたところ]only の訳・等位接続詞の並列関係・名詞を述語化した和訳
例によって今回も,否定の副詞 only が文頭に出ているため倒置(VS)が起こっているのですが,only の訳 は「「〇〇だけだ」という肯定訳と「〇〇しかない」という否定訳の両方の訳ができますから,どちらが適切かを考えました。
【訳その1】が肯定訳,【訳その2】が否定訳です。
ポレポレの英文はおそらく長文の一部を抜粋したものでしょうから,今回はどちらが適切かわかりませんので,両方のせておきました。
おそらくこの英文のポイントは,only による倒置ではなく,等位接続詞の並列関係 すなわち,and が何と何をつないでいるのか,という点でしょう。
等位接続詞は,直後の語句と同じ形の語句を前で探し,並列関係を見抜かなければなりません。
最初の and は直後が the appearance なので,and の前で名詞を探します。すると industrialization とあるので,industrialization と the appearance をつないでいることが判明します。with が共通の前置詞ですね。
2つ目の and は直後が formally organized schools という名詞句なので,and の前で名詞句を探します。すると, a middle class とあるので,a middle class とformally organized schools をつないでいることが判明します。両方とも直前の前置詞 of の共通の目的語になっていますね。
等位接続詞は誰でも知っている基本事項ですが,何と何をつないでいるのかという並列関係を正確に見抜かないと,読み誤ってしまうので注意が必要です。
あとは 名詞を定番の動詞化して訳す というパターン。
with industrialization は「産業化によって」ではなく「産業化が起こって」 with the appearance of〜 は「〜の出現によって」ではなく「〜が出現することで」と述語化して訳しました。
せっかくなので「名詞を述語化して訳す」という点についてもう少し踏み込んで書いてみます。
industrialization 「産業化」という名詞を「産業化が起こって」という述語化して訳しましたが,industrialization という名詞の中に industrialize「産業化する」 という動詞が内包されていることは明らかです。
ここで,industrialize という動詞の主語ははっきりしませんが(産業化したのは「社会」でしょうか…)訳す上では困りません。
the appearance of a middle class and formally organized schools に関しては,the appearance という名詞の中に appear という動詞が内包されています。
of a middle class and formally organized schools の部分は,appear の主語(主格の関係)になっていると判断できるので,「中流階級や公的に組織された学校が出現する」という様に述語化して訳せるわけです。
英語の名詞をそのまま名詞として和訳すると不自然な訳になってしまうので,こういう場合は述語化したり,副詞節や副詞句のようにように訳すと自然な和訳が得られるということが多くあります。特に(1)無生物主語(2)名詞構文(3)名詞中心の表現 などを和訳する上では注意が必要ですね。この点に関しては,江川泰一郎著『英文法解説』が p.25 から p.40 まで 15ページに渡って解説しており,また,安西徹雄著『翻訳英文法 訳し方のルール』が大変詳しいです。この2冊,高校時代に読みたかったです。
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