[1] In my experience the problem of what to do in life was not made any easier by those who were in charge of my education. [2] Looking back, it seems most odd that never once in all the years that I was at school was there any general discussion about careers.
法政大学
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【第1文】文構造を分析してみた
(Ⓜ In my experience) Ⓢ the problem <同格 of what to do in life> Ⓥ was not made Ⓒ any easier (Ⓜ by those <who were in charge of my education>).
[訳してみた]
【訳】私の教育に携わった方々が,人生で何をすべきかという難題をちょっとでも簡単にしてくれたかというと,私の経験では,そうではなかった。
[気をつけたところ]受動態の訳・副詞の any
主節が受動態の文ですが,英文が受動態で書いてあるからと言って,和訳するときも受動態の日本語にしなくてはならない,という決まりはありません。むしろ機械的に受動態の日本語に訳していては,自然な和訳にならないことの方が多いです。
話が少し脱線しますが,日本語の受動態表現は本質的に英語のそれと少し違います。例えば,「雨に降られた」とか「親に死なれた」などの日本語を,英語の受動態で表現することはできません。rain も die も自動詞で,自動詞では受動態を作れないからです。英語の受動態と日本語の受動態は言語における機能も別物なのでしょう。もちろん,共通する点もあるでしょうが。
というわけで,was not made any easier という受動態を能動的に訳したほうが自然な訳になると判断しました。能動態に直した英文 They made the problem of what to do in life any easier の訳を考えるのと同じというわけですね。
具体的に言うと「問題は人々によって少しも簡単なものにはならなかった」という受動態を「人々が問題を少しも簡単にはしてくれなかった」という能動態に直して訳をするということです。
what to do in life という問題は,簡単にはならなかった大変難しい問題,ということで「難題」と訳をしました。
さて,すこし訳しづらさを感じたのは any easier の any です。
easier という形容詞にかかっているので,ここの any が副詞であることは明らかなのですが,副詞の any というと「比較級の修飾」しか思いつかず,それ以上説明ができないことに気がつきました。ということで色々と調べてみました。
杉山忠一著 英文法詳解(p.137)には,副詞の any は「少しでも」= in any degree の意味の副詞として比較級の前に用いられる,とあります。
手許にある文法書を数冊あたって,副詞の any の解説を読んでいると,ある共通したテーマに気が付きます。その共通点は “MAX” ということです。
例えば,副詞の any がよく使われる文法項目として,仮定法があります。仮定法で使われる副詞の any は「これ以上」という意味ですが,仮定法と一緒に使われて 事実上 “MAX” であることを表しています。”MAX” より上は事実上「あり得ない」ことなので仮定法と一緒に使われるのですね。
(例) It couldn’t be any better.
これ以上良くはならない = 最高だ
(例)Could it be any better?
これ以上良くなるだろうか(いや,ならない) = 最高だ (これは反語表現です)
さらに “MAX” に関連して,“MAX” まではいかずとも「少しは・いくらか」
(例)Do you feel any better?
少しは気分がいいですか?
以上大きく脱線しましたが,副詞の any についてでした。
今回の英文は「少しは・いくらか」という意味で,「少しでも簡単に」=「ちょっとでも簡単に」と訳しました。
【第2文】文構造を分析してみた
(分詞構文 Looking back), 形式Ⓢ it Ⓥ seems Ⓒ most odd [真Ⓢ that (Ⓜ never once in all the years <関副Ⓜ that I was at school>) Ⓥ was there Ⓢ any general discussion <Ⓜ about careers>].
[訳してみた]
【訳】振り返ってみると,私が学校に在籍していた間にただの一度も,職業に関する総合的な議論がなかったということは,普通ではないように思える。
[気をつけたところ]
形式主語構文なので,it より前の部分は修飾語句になるわけですから,Looking back は分詞構文で文全体を修飾。真主語の that節は,never once in all the years という否定語を含む副詞句が文頭に出ているため倒置(VS)が起こっています。
以上,第2文は特に問題ありません。
今回のポレポレはそこまで難しくありませんでしが,副詞の any を調べるキッカケになった文でした。
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