京都大学 2017 前期 英語 【Ⅲ】の英作文を書いてみた

ライティング

【問題】次の文を英訳しなさい 

生兵法は大怪我のもとというが、現代のように個人が簡単に発信できる時代には、とくに注意しなければならない。聞きかじった知識を、さも自分で考えたかのように披露すると、後で必ず痛い目にあう。専門家とて油断は禁物、専門外では素人であることを忘れがちだ。さまざまな情報がすぐに手に入る世の中だからこそ、確かな知識を身に付けることの重要性を見直すことが大切である。

[ペンギンの英作文]

We often hear it said that half knowledge can be very risky. This is especially true today, when anyone can easily send or receive various kinds of information. You may find yourself in trouble if you tell someone something you heard from someone else as if it were your own idea. Experts are no exception.  They sometimes forget the fact that they are not experts any more when they are outside their own fields. Now that anyone can find any kind of information very easily, we should realize the importance of deep understanding of what we are learning. 

[気をつけたところ]

「生兵法は大怪我のもと」日本語のことわざを英作文にいれてくるのか!

京都大学を受ける受験生が,このことわざの意味を知らなかったらどうするのだろうか。後半部分からこのことわざの意味を推測するのだろうか。合ってるか分からない和文の英訳を考えるほど心許ないことはないよなぁ。

生兵法は,中途半端な知識や技術という意味で,half knowledge として can be very risky 「危険になりうる」で表現しました。最初は dangerous にしていましたが,問題に発展するリスクを多分に含んでいるという意味で risky にしました。

1文目と2文目の文と文のつながり(Cohesion)を出すためにも,2文目の主語を This にして, This is especially true of〜 「特にこれは〜にあてはまる」を使いました。(〜の部分には today という副詞が入るので of は不要。) today を非制限用法で補足説明を追加します。

「個人が簡単に発信できる」は anyone can easily send or receive various kinds of information で表現。「誰でもあらゆる情報を発信・受信できる」として,この部分を関係副詞の形容詞節として today にかけます。

「後で必ず痛い目にあう」も日本語ならではの誇張表現です。実際は痛い目にはあわないこともありますよね。「必ず」ではないはずです。英語では逆にこういった断定表現は避けるべきですので,助動詞でやわらげて,You may find yourself in trouble としました。この主節の部分は1文目 can be dangerous に関係している情報ですので,旧情報は先に述べて,どういうときにトラブルになるかを新情報として後ろに置きます英作文では新情報・旧情報の扱いがとても重要ですね。

「聞きかじった」これも日本語のメタファーのような表現なので,「誰かに聞いた」と英訳しやすいように和文和訳します。

「聞きかじった知識を、さも自分で考えたかのように披露する」は if you tell someone something you heard from someone else as if it were your own idea としましたが,some が多くてあまり自信がありません。もっといい表現があるはず。動詞が人を目的語にとらなくてはならない tell だからよくないのかな。 if you show off someone else’s idea as if it were yours とかなら少しはマシだろうか。

「専門家とて油断は禁物」 = 「専門家も例外ではない」と Experts are no exception. としました。 最初は Even experts としたのですが,even や also や 変なディスコースマーカーが無いほうが逆にシンプルで強烈に感じたので敢えて取りました。(これはあくまでペンギンの個人的な感想。)

「さまざまな情報がすぐに手に入る世の中だからこそ」ここでこそ,大学受験に習った熟語 Now that S’V’〜 を使うべきですね。「いまやS’V’〜なので」という理由を表す群接続詞。

「〜の重要性を見直すことが大切」= we should realize the importance of 〜「〜の重要性を認識すべきだ」ここはいいのですが,一番悩んだのは,「確かな知識を身に付けること」というところです。

何だよ「確かな」って。いかにも日本語的な表現。accurate knowledge とか correct knowledge では,1文目で使った half knowledge の対義語というニュアンスが出ません。

そこで half の逆を考えて,full を使おうと考えました。そこから full understanding としました。

しかし,ものごとを full に理解することなんてなかなか難しいですよね。なのでもうすこし曖昧に deep という形容詞を使いました。

難しい英作文でしたが,語彙面・文法面・coherence と cohesion を考慮しながら,ベストの英文を考えるのは楽しい作業です。

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