[1] The thing that saves most of us from feeling terrible about our limited intellect is some small part of our personality or character that makes us different. [2] Being uniquely ourselves makes us feel better about not being smart. [3] It’s those little differences we have that keep us from committing suicide when we realize, early in life, that a lot of people have more brains than we have.
慶応大学
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【第1文】文構造を分析してみた
Ⓢ The thing <Ⓜ 関代 ⒮ that ⒱ saves ⒪ most of us (Ⓜ from feeling terrible about our limited intellect)> Ⓥ is Ⓒ some small part <Ⓜ of our personality or character <関代 ⒮ that ⒱ makes ⒪ us ⒞ different>>.
[訳してみた]
【訳】<自分の理解力が乏しいことを)辛いと感じることから我々を救ってくれる>ものは,<<他人との違いを示す>我々の個性や性格の>小さな部分だ。
[気をつけたところ]that の識別
that が2つ出てきますが,2つとも that の直後に動詞が続いているので,主語のない文,すなわち「不完全文」が続いていることはわかります。不完全文が続く that は 関係代名詞 の that でしたね。
save + O + from 〜ing は「Oが〜すること(危険・損失・災難など)から救う」from には「抑制や防止」といったニュアンスがあると理解しています。
limited もよく出てくる形容詞です。
limited resources (限られた資源)のように「限られた」という訳が良い時と,「限られた」から少し意味を派生させた「少ない・乏しい」という訳が良い時とあります。例えば, “countries with very limited natural resources” (天然資源が乏しい国)といった時などです。今回は intellect を「理解力」として,そしてそれが「乏しい」という訳を使いました。
訳で少し気をつけたところがもう1箇所。
<that makes us different> という関係代名詞節です。直訳すれば,「私達を違う状態にしている」ですが,これでは何となく芸がありません。違う状態とはなにかというと,「他人と自分は違うという状態」なので,「他人との違いを示す」という風に訳してみました。
【第2文】文構造を分析してみた
Ⓢ Being uniquely ourselves Ⓥ makes Ⓞ us Ⓒ feel better (Ⓜ about not being smart).
[訳してみた]
他人とは違うように自分が存在していることで,我々は(自分の頭が良くないということについて)ましに感じることができます。
[気をつけたところ] 無生物主語?
being の部分が主語になっています。 動名詞ですから,名詞らしく「〜であること」「〜で存在すること」と訳します。
ところで,これは一種の無生物主語と考えてもよいのでしょうか?人や動物ではない無生物の主語なので,無生物主語とも言えるかもしれませんが,無生物主語のポイントはそこではなく,主語を原因や理由・条件・手段などを表す副詞のように訳すと自然な日本語訳になる,という点です。
なので,「〜で存在すること」という直訳ではなく,「〜として存在することによって」と原因や理由で訳を考えてみました。
being を無生物主語として考えてもよいのかは,ペンギンは分かりません。手元にある文法書を引きましたが,being を無生物主語として扱っている記述は見つかりませんでした。
でもいいじゃないですか。大切なのは無生物主語として扱っていいのか否かではなく,「ここは副詞的に原因・理由で訳したほうが上手く訳せるんだ!」という信念だと思います。エビデンスがなくたって,それがペンギンの出した訳なんだから。と,言い聞かせて次へいきます。
【第3文】文構造を分析してみた
強調構文 It’s Ⓢ those little differences <Ⓜ we have> that Ⓥ keep Ⓞ us (Ⓜ from committing suicide (Ⓜ when ⒮ we ⒱ realize, (Ⓜ early in life), [⒪ that a lot of people ⒱ have ⒪ more brains (Ⓜ than we have)]).
[訳してみた]
((人生の早い時期に)[多くの人は自分よりも頭が良いのだと]気付いた時)我々が自殺などをしないでいられるのは,<我々の中にある>これらの小さな違いによるものである。
[気をつけたところ]強調構文・it is 〜 that の識別
今回もまた出てきました,強調構文!
前回のポレポレ (例題32) では,強調構文に気付けずに撃沈したので,その失敗を活かして,見抜くことができてよかったです。
今回のように it is 〜 that という形は,形式主語構文なのか,強調構文なのかの識別が必要です。富田の読解の原則では次のようにまとめてくれています。
It is <A> that…は,次の基準で判別する。
① <A> が形容詞 → 仮主語構文
② <A> が副詞 → 強調構文
③ <A> が名詞 → that以下が完全な文なら仮主語構文。that以下が不完全な文なら強調構文
④ <A> が前置詞+名詞 → 強調構文 ただし,前置詞+名詞がof+抽象名詞なら仮主語構文
富田読解の原則 66/100
it is 〜 that の, 〜の部分に名詞があるときは慎重な判断が必要なんですね。強調構文の場合でも that の代わりに which や who が用いられることもありますが,ペンギンは that 以外が使われると,強調構文だと気づきにくくなる気がします。というか,前回のポレポレがトラウマになっているだけかもしれませんが・・・。
さておき,今回は,it is の後ろに those little differences という名詞句が続いていて,that 以下が不完全文ですから,すぐ見抜けました。
もう一箇所の that について。
これは単純に realize の目的語になる名詞節ですね。early in life が挿入されているだけなので,簡単でした。完全文であることも明らかです。
【ボキャブラリ】語句まとめ
- limited【形】限られた ➡ 乏しい
- intellect【名】知能・知性・理解力
- personality【名】個性・人柄
- character【名】個性・性格
- uniquely【副】独自に・特有に・比類なく
- committing suicide 【動】自殺する
- have more brains【動】頭がいい
あれ?personality と character の違いってなんだろう? characteristic とかも言いますよね?
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