ポレポレ22 – 北海道大学

ポレポレ

[1] The crucial issue is whether the essence of life resides in the heart or in the brain. [2] Because the body rarely shuts down all its systems at once, and because hospitals have access to the most modern life-preserving machinery, it is entirely possible that the brain, deprived of an adequate supply of oxygen, could die while the patient, often with the help of hospital equipment, remains alive.

北海道大学

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【第1文】文構造を分析してみた

The crucial issueis [whether ⒮ the essence <Ⓜ of life> ⒱ resides (Ⓜ in the heart or in the brain)].

[訳してみた]

きわめて重要な問題は,生命の本質は心臓にあるのか,それとも脳にあるのかということだ。

[気をつけたところ]whether の訳し方

ペンギン
ペンギン

whether って名詞節 と 副詞節の両方あるんですよね?訳し方とか,よく分からなくなります。

be動詞に続く whether節なので,名詞節だと判断できます。名詞節を作る whether の訳は「〜かどうか」でした。 今回のように [ whether A or B ] という形になると,AとB には対比されるものが置かれて,訳は「 A か B か 」となるので,ここの訳は「生命の本質は心臓にあるのかそれとも脳にあるのか」となると思います。

副詞節になる時は,文の要素(SやOやC)にはならずに,修飾語句(M)になる時です。[ whether A or B ] という形が同じでも,副詞節の場合は「A であろうと B であろうと」という訳になります。 ペンギンは最初,下の(A)と(B)の区別が付きませんでした。

(A): I don’t know whether he will come with us or not.
(B): I have to go whether he comes with me or not.

(A)が名詞節で,(B)が副詞節です。訳は(A)は「彼が来るのか来ないのか分からない」(B)は「彼が一緒に来ようが来まいが,私は行かなくてはならない」です。もう分かるようになりましたが,最初は(A)を「来ようが来まいが私は知ったことではない」と訳してしまいました。名詞節と副詞節が混同して,勝手な訳を作ってしまっていたのです。

【第2文】文構造を分析してみた

(Ⓜ Because ⒮ the body (Ⓜ rarely) shuts down ⒪ all its systems (Ⓜ at once), and (Ⓜ because ⒮ hospitals ⒱ have ⒪ access <Ⓜ to the most modern life-preserving machinery>), 形式Ⓢ itis( entirely) possible [真Ⓢ that ⒮ the brain, (分構Ⓜ deprived of an adequate supply of oxygen), ⒱ could die (Ⓜ while ⒮ the patient, (Ⓜ often with the help of hospital equipment), ⒱ remains ⒞ alive)].

[訳してみた]

【訳】(人体はすべてのシステムを同時にシャットダウンすることは滅多になくて,病院も現代の延命機器類が利用可能なので,)[(十分な酸素の供給が奪われてしまえば,)脳は死んでしまうかもしれないけれど,一方で,患者は(病院の装置のおかげで)生きているということは]十分に起こりえる。

[気をつけたところ]挿入・過去分詞の識別・分詞構文の意味

なが〜い一文ですが,丁寧に修飾語句を(  )や < > に括りだすと,実はシンプルな形式主語構文でした。気をつけたのは,deprived の 過去分詞の識別 だけです。

ペンギン
ペンギン

ここの deprived は前にある the brain を修飾する限定用法だと思ったのですが。

単刀直入に言ってしまうと,deprived の前にカンマがあるので,直前の the brain を修飾する限定用法とは考えられないようです。富田の読解の原則にカンマに関する原則がありました。

comma (カンマ)は,その「直前の一語」と「直後の一語」が直接結びつかないことを示すだけの記号である。comma の前後で文が大きく切れるとは限らない。

富田読解の原則 58/100

直前にある the brain を修飾する限定用法だとしたら,カンマは要らないよねっということです。じゃあどうしてカンマが打たれているのでしょうか,そしてこの過去分詞は何なのでしょうか。

文中に comma が2つあったら,そのあいだをとばして前後をつなげてみる。うまくつながったら,comma にはさまれた部分は挿入である。

富田読解の原則 15/100

「カンマをとばしてつなげる」ということをやってみます。 すると the brain could die とうまく繋がりました。ということは,カンマにはさまれた部分は「挿入」であることが判明しました。さらに富田先生の原則からもう一つ。

挿入は直前のことの注釈である。文法的には「前と同格」あるいは「全体で副詞」と考えるとよい。

富田読解の原則 16/100

deprived という過去分詞が前の the brain と同格になるとは考えられません。この部分は「全体で副詞」となります。副詞になる分詞の使い方は 分詞構文 しかありません。分詞構文はもともと,[ and +S’V’〜 ] の等位節か,[ 従位接続詞 + S’V’〜 ] の従属節です。訳をする時には,省略された接続詞を考えることがポイントになります。

ここでは,「脳は死んでしまうかもしれない」という主節に対して,「十分な酸素の供給が奪われてしまえば」という「条件」がうまく訳せそうです。もともと if the brain is deprived of an adequate supply of oxygen という文が挿入されていて,接続詞と共通の主語と being を省略して,分詞構文になったのかなぁと合点がいきました。

蛇足ですが,while節でも ,often with the help of hospital equipment, がカンマにはさまれています。なので, the patient remains alive often with the help of hospital equipment と考えれば簡単です。

【ボキャブラリ】語句まとめ

  • crucial 【形】きわめて重要な・決定的な
  • essence 【名】本質・根本
  • reside【動】住む  residence【名】住宅 residential【形】住宅の
  • rarely 【副】めったに〜しない
  • shuts down【動】(PCの)システムを終了する・閉鎖する・閉める
  • at once 【副】同時に・すぐに・即座に
  • life-preserving 【形】救命の・延命の
  • machinery【名】機械類 (-ryがつくと,名詞の種類をひとくくりにして,「〜類」という派生語を作り,不可算名詞になる; a machine(機械) ⇒ machinery(機械類) / a scene(写真1枚1枚,1つ1つの風景) ⇒ scenery(広い全体の景色) / a jewel(1つ1つの宝石) ⇒ jewelry (宝石類)/ a poem(一編の作品としての詩) ⇒ poetry(形式としての詩の総称) / a pot(1つのポット) ⇒ pottery(陶器や焼き物の総称))
  • entirely【副】全く・完全に
  • possible【形】起こりうる
  • deprive【動】奪う deprive A of B:AからBを奪う
  • adequate 【形】十分な
  • supply【名】供給 ⇔ demand 【名】需要
  • oxygen【名】酸素
  • patient【名】患者
  • equipment【名】機器・器材・設備
  • remain + C【動】Cのままである

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