[1] The aggressive part of human nature is not only a necessary safeguard against savage attack. [2] It is also the basis of intellectual achievement, of the attainment of independence, and even of that proper pride which enables a man to hold his head high amongst his fellows. [3] Without the aggressive, active side of his nature man would be even less able than he is to direct the course of his life or to influence the world around him.
神戸大学
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【第1文】文構造を分析してみた
Ⓢ The aggressive part <Ⓜ of human nature> Ⓥ is not (Ⓜ only) Ⓒ a necessary safeguard <Ⓜ against savage attack>.
[訳してみた]
人間の本質の攻撃的な部分は,<凶暴な攻撃に対する>必要な防御手段だけではない。
[気をつけたところ]only の訳と呼応表現

only の訳って地味にたくさんありますよね?
only は「〇〇だけ」と訳すわりには,他にも「唯一の」とか「わずか」とか「つい・たった」とか他にもいろんな慣用句表現がありますよね…。ペンギンは正直これまで場当たり的な訳し方で対応してきました。
私が社会人になってから勉強した富田一彦先生の読解の原則にはこう書いてありました。
only の場合は,きちんと文法的に判断すれば正しい訳が選べるのである。そして私がこの本を通じて諸君に何よりも強調したいのは,文法的判断を文脈的判断に優先して使う(中略)という姿勢である。
読解の原則(上)p.34
もちろん,読解の原則は受験生向けの本なので,社会人の方には不向きかもしれません。しかし,大学受験でサボってしまった私の場合は,社会人になってからまずこの本で英語の読み方というものを学んで正解でした。社会人になると,あまり口うるさく指導してくれる人はいません。学生の頃のように,「ハイッ!」と返事をしながら部活をしているような感覚で英語の読み方の基礎を整理しながら学ぶことができました。
その本には,“only はその品詞が形容詞の場合「唯一の」と訳し,副詞の場合は「ただ〜に過ぎない」と訳す” とあります。
もちろん,副詞の only がすべからく「ただ〜に過ぎない」と訳すはずありません。それは分かっているのですが,まだ何の知識も整理されていない状態で「品詞に目を向けよ!さらば与えられん!」とムチを打ってくれる人の存在がありがたかったです。
ここまで書いておきながら,実際今回は,そこまで品詞に注意を払って訳を考えるまでは必要ないようです。
というのも, not only という形が取られています。よく but also と呼応する表現です。呼応表現 と言えば他にも次のようなものがあります。
- not only A but also B 「AだけでなくBも」
- B as well as A 「AだけでなくBも」
- not A but B 「AではなくてB」
- both A and B 「AとBの両方」
- either A or B 「AとBのどちらか」
- neither A nor B 「AもBもどちらも〜ない」
- it is true that A(S’+V’) but B(S+V) 「たしかにAだが,Bだ」
- Indeed A(S’+V’) but B(S+V) 「たしかにAだが,Bだ」
not only につづく but also の部分は今回はありませんが,次の文に also があるので,2文に分けられて「Aだけではない。Bでもある。」という形になっていると解釈しました。
【第2文】文構造を分析してみた
Ⓢ It Ⓥ is (Ⓜ also) Ⓒ the basis <Ⓜ of intellectual achievement>, <Ⓜ of the attainment of independence>, and even <Ⓜ of that proper pride <Ⓜ ⒮ which ⒱ enables ⒪ a man ⒞ to hold his head high (Ⓜ amongst his fellows)>.
[訳してみた]
それは,<知的な偉業の>基本であり,<独立を達成することの>基本であり,そして,<人間が(仲間との間で)毅然と生きることを可能にする><本来の自尊心の>の基本でもある。
[気をつけたところ]従位接続詞の並列・先行詞明示の that
一見難しく感じましたが, of で始まる形容詞句を一つ一つ < > でくくっていくと,< > が3つ並べられていること(並列表現)に気がつきました。
3つ以上の語句を並べるときは「 A, B(,) and C 」のようにコンマで区切り,最後の語句の前にだけ and を使います。
こうして, the basis of <A>, <B>, and even <C> という形が浮き上がってきます。<A> も <B> も <C> も形容詞句なので,すべて the basis にかかって「<〜の>基本」となるはずです。
今回の the basis のように, 初めて出てくる名詞に the が付いていると,後ろから修飾されることが多い,ということを教えてくれたのも,富田の読解の原則です。
あと気をつける所は2箇所。まず,名詞でも動詞化して訳すというプロセス。もう既に何回か出てきていますので,詳しくは書きませんが,the attainment of independence というところも「独立達成の基礎」と名詞で訳すよりも,「独立を達成することの基礎」と動詞化した訳も考えてみて,どちらが自然な訳か,どちらが自分の好きな訳かを選ぶ。
もう1箇所は3つ目の形容詞句 <of that proper pride> の that が何かという点です。
ここは文法問題で見たことがありますが, 先行詞明示のthat という謎の that です。後ろに関係詞節が続く名詞,つまり先行詞に that がついていれば,それは「これが先行詞ですよ。関係詞の修飾を受けるのはここですよ。」と示してくれる親切な that です。 ですが,ペンギンにはこの親切心が逆効果です。まさに「ありがた迷惑の that 」と命名したいくらいです。というか,なくていいです。あるから,あれ?この that は何の that だろう?と考えてしまうのです…。
【第3文】文構造を分析してみた
(Ⓜ Without the aggressive, active side <Ⓜ of his nature>) Ⓢ man Ⓥ would be (Ⓜ even less) able (Ⓜ than he is) to direct Ⓞ the course <Ⓜ of his life> or Ⓥ to influence Ⓞ the world <Ⓜ around him>.
[訳してみた]
(<人の本質の>攻撃的な,そして,自発的な部分がなければ)人間は,<自身の人生の>方向を指示したり,<自身の周りの>世界に影響を与えることが,今の人間ほどできないであろう。
[気をつけたところ]等位接続詞のつなぐもの
動詞に助動詞の過去形が使われていて,文頭に without〜 とあるので,「〜がなければ…だろう」という仮定法で訳します。
副詞句を一つ一つ ( ) で括ります。すると,would be able to 不定詞〜 の動詞部分が浮かび上がってきます。等位接続詞 or がつなぐものもすぐに分かります。富田の読解の原則には,目の動かし方まで載っていましたから。
等位接続詞の前後には,文法上同じ働きをするものがくる。それを発見するためには以下の手順を踏む。① 等位接続詞の後ろの形を確認する ② 前でそれと同じ形を探す ③ 同じ形になっているもの同士を並列に書き並べる。
富田の読解の原則 3/100
こういうことを言ってくれる英語の先生や,学参に受験生の時に出会いたかったです。ペンギンが高校の時に習った英語の先生は,おじいちゃん先生で,「軸テーションをやるからノート開けぇぇ」とよく言っていましたねぇ。はい、dictation のことです。
おっと,話が脱線してしまいました。話を or のつないでいるものに戻すと,or の後ろが to不定詞なので,or の前で to不定詞を探す。すると, to direct と to influence の接続だと判断できました。
あとは,従位接続詞 than に続く he is という部分の訳を,どう訳すか。ここは,関係代名詞の例文 what S is を 「今のS」と訳すということを参考にしました。than he is で he はずっと人間をさしていますから,「今の人間よりも」と訳をしました。less で劣等比較級ですから,「人間は,(中略)今の人間ほどできないであろう。」となります。
【ボキャブラリ】語句まとめ
- aggressive 【形】攻撃的な
- nature 【名】本質・性質
- necessary 【形】必要な・不可欠
- safeguard【名】防御手段・予防手段・安全装置
- savage【形】獰猛な・凶暴な
- basis【名】基本
- intellectual【形】知的な
- achievement【名】偉業・功績・業績・達成
- attainment【名】到達・達成
- independence 【名】独立
- proper【形】適切な・妥当な・本来の
- pride 【名】誇り・自尊心
- enable + 人 + to 不定詞〜【動】人が〜できるようにする
- hold one’s head high 【動】毅然とする・胸を張る
- amongst 【前】〜の間で・〜の中で =among
- direct【動】指揮する・指示する
- course【名】進路・向かう方向
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